2017 / MOVIE
ビジランテ
入江悠自身としては『SRサイタマノラッパー』シリーズ以来となるオリジナル脚本の映画。
大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太の主演で、入江の地元である埼玉県深谷を舞台に地方都市特有の暗部を描いていく。高校時代に行方をくらました長男の一郎、市議会議員を務める次男の二郎、デリヘルの雇われ店長をしている三男の三郎。三兄弟はまったく世界の異なるそれぞれの道を生きてきた。兄弟の父親が亡くなり、失踪していた一郎が30年ぶりに突然帰ってきたことにより、三兄弟の運命が交じり合い、欲望や野心、プライドがぶつかり合う中で、三兄弟を取り巻く事態は凄惨な方向へと動いていく。大森、鈴木、桐谷がそれぞれ長男、次男、三男を演じるほか、篠田麻里子が次男の妻役で出演。撮影は埼玉県深谷市を中心に、栃木県足利市、埼玉県所沢市などで行われた。
(上映時間125分、R15+)
COMMENT
閉鎖的な地方都市は圧力鍋だ。
閉じ込められ、爆発寸前まで熱せられる。
鍋の蓋を開けたものが目にするのは激情と絶望のごった煮だ。
素晴らしい。
馳星周(小説家)
酒に酔うと、人を貶める言葉ばかりが口をつく。
昨日もライブの打ち上げでそんな自分に絶望した。
でも今日、この映画を観て許された気がした。
気のせいだとしても、すごく安心した。
尾崎世界観(クリープハイプ)
暴力は哀しい。それでも暴力でしか証明できないやさしさがあるのだ。
東山彰良(作家)
身体に刻み込まれた世界から逃げるために必要なのは、血だ。
断ち切るナイフを持って川を逃走する幼い兄弟が切ない。
彼らはその後、何もないはずの土地が再生する悪夢にのみ込まれることになる。
繰り返される運命は私たちがスクリーンを切り裂くことでしか救えないのだろうか?
今日マチ子(漫画家)
「サイタマノラッパー」ならぬ「サイタマのゴッドファーザー」。
田舎の権力者の元に生まれた三兄弟の壮絶な生き様。
音楽映画、スパイ映画、サスペンス映画、そして本作と常に新たなシアのうを発揮する入江監督に感服。
田法男(映画監督)
入江悠は、この一本で中上健次にどれだけ近づいたのか。
まさにサイタマ深谷を舞台にした「血の果て史上の時」だ。
瀬々敬久(映画監督)
最初から最後まで、息もできないくらい胸がドキドキする刺激的な作品で圧倒されました。人間の複雑な環境、様々な人生の描写に衝撃が…。
山本舞香(女優)
地元で生き続ける者と都会に自分の居場所を見つける者。
川を渡らなければ見えない景色もあれば、留まる事で理解できる事もある。
本作は全ての人間には逃れる事の出来ないノワール(暗黒)が存在すると教えてくれる。
コトブキツカサ(映画パーソナリティ)
CAST
大森南朋
鈴木浩介
桐谷健太
篠田麻里子
嶋田久作
間宮夕貴
吉村界人
般若
坂田聡
岡村いずみ
浅田結梨
八神さおり
宇田あんり
市山京香
たかお鷹
日野陽仁
菅田俊
STAFF
監督・脚本:入江悠
製作:間宮登良松、江守徹、太田和宏、平体雄二
エグゼクティブプロデューサー:加藤和夫、江守徹
プロデューサー:佐藤現、平体雄二
音楽プロデューサー:津島玄一
キャスティングディレクター:杉野剛
企画協力:國實瑞恵
撮影:大塚亮
照明:新井和成
録音:田中博信
美術:松塚隆史
スタイリスト:荒木里江
衣装:越智雅之
ヘアメイク:金森恵
編集:佐藤崇
音楽:海田庄吾
音響効果:松浦大樹
助監督:松本壇
製作担当:松村隆司
配給:東京テアトル