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2017.08.25

SR サイタマノラッパー

ドラマ『SRサイタマノラッパー マイクの細道』Blu-ray&DVD発売

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ドラマ『SRサイタマノラッパー マイクの細道』のBlu-ray&DVD(全11話ボックス)が発売になりました。
映画版3部作の時は、Blu-rayはなくDVDだけの発売でしたが、今回のドラマ版は撮影時から高画質の4K撮影を行なっていたため、初めてのBlu-ray同時発売です。

(以下、私が毎週配信している映画メルマガ「僕らのモテるための映画聖典メルマガ」Vol.237より、一部記事を抜粋しています)

今回はBOX仕様での発売なので、特典映像を入れる余裕もかなりあるため、できるだけ特典をつけることにしました。歌詞カードなどを含めてこんなにスペシャル特典を入れたのも初めてでした。

ちょっと真面目なことを書くと、この数年はAmazonやNetflixの隆盛もありネット配信化がどんどん加速してきています。一方、モノを所有する購入形態であるDVDの方は売上がどんどん落ちています。
これは時代の趨勢だと思われるため、さらにネット配信が主流になるのは今後逆らえないでしょう。
でも、僕はDVD(あるいはBlu-ray)が好きです。モノがそこにある、という確かさがとても好きです。

以前、名古屋シネマスコーレという映画館の副支配人・坪井さんのドキュメンタリーをメルマガのレビューで紹介しました。
劇場版「シネマ狂想曲~名古屋映画館革命~」 
http://www.tvguide.or.jp/column/kimagure/20170421_01.html

坪井さんは映画好きだけでなく、無類のVHS収集マニアです。
ドキュメンタリーのなかで、こんなシーンが出てきます。
収納用に借りたマンションの1室でVHSを床に並べながら、「ほら、VHSは床に立つんですよ!」。坪井さんが嬉しそうに言います。

これです。
床に立つ。
DVDはVHSよりは床に立ちにくいですが、本棚などに入れると、パッケージの背表紙が見えます。ずらっと並んでいると、その背表紙がある種のメッセージを持つようになる。
まるで、「ほら、ここにあるのがお前の嗜好の歴史だ」と囁くようです。
僕は映画の企画などを考えるときに、このパッケージの背表紙や、あるいは書棚の背表紙を眺めます。DVDや本の背表紙が、僕が無意識で追い求めているものを教えてくれるからです。
物量として迫ってくる収集の歴史は、最近読んで感銘を受けた1冊の本、1本の映画をたやすく凌駕します。「自分がほんとに好きなのはこれなんだ」と教えてくれます。 

最近、断捨離のようなものが流行りましたが、僕は文化的なもの限っては、やっぱりモノを収集する方が好きです。本にしても、映画にしても、あるいは絵画にしても(絵は高くてなかなか買えませんが)。そういうモノがまったく無いと、なんだか自分というものの根っこが何もなかったかのような寂しさを覚えるからです。

結局のところ、どこかの巨大サーバーに映像データが収容されて、そこから配信で送られてくるネット配信は、消費者の記憶です。
「ああいう映画があったな。観てみるか」と呼び出しにいく感じに近い。
僕たち受容者が自分の記憶を外部化して、誰かに預けているようなもの。(もちろん、ネットサーフィン的な作業で新たに出会うこともありますが)。
なので、自分の記憶というとても危ういものに頼るしかありません。

でも、目の前にあるモノはすぐにかつての記憶を鮮明に蘇らせてくれる。
自分に少なからず影響を与えて、かつ、購入できる余裕のあるものは、僕はモノで買うようにしています。

あとは、DVDやBlu-rayが好きなのは、特典映像が充実しているときです。
僕は撮影がどんな風に行われたのかわかるメイキングや、(古い映画などは)年取った俳優やスタッフが過去を思い出して語るインタビューがとても好きで、暇なときにダラダラ観ています。 

一方で、製作者目線でいうならば、モノを買うことが、データ配信よりも割高感がある今、DVDなどの価値は特典映像などで作っていくしかありません。
というわけで、今回の『SRサイタマノラッパー マイクの細道』は、許容範囲が許すギリギリまでスペシャル特典を入れ込むことにしました。
自分としてもここまでスペシャル特典に関与して、映像やブックレットをディレクションしたのは初めてです。
あまりに嬉しいので、ちょっとだけ今回の特典について自慢させてください。


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<特典映像系>
1. 「大間から川崎へ! SHO-GUNGたちの旅路を追ったドラマメイキング映像!」

いわゆるメイキング映像によるドキュメンタリー。
釣りラッパーTECがクランクインからアップまでカメラを回し、ドラマがクランクアップしたあとにも、自宅にSHO-GUNGを呼んで「振り返り総括」のためのインタビューを敢行しました。
特筆すべきは上鈴木兄弟によるラップ監修の模様です。そのユニークさと上鈴木兄弟の八面六臂の活躍は、これを見ればほぼわかるはずです。

2. 「撮影秘話満載のオーディオコメンタリー」
完成したドラマ各話を見ながら、出演者スタッフが喋っています。
ドラマで全話敢行というのはあまり例がない。
プロデューサーからは「奇数回だけやりますか?」などと話があったのですが、「どうせみんな集まるんだったら全話喋りましょう」と言って、会議室で夜まで収録しました。

3. 「全話エンディング映像集」
普通のドラマだと、オープニングとエンディングは決まったものを毎話流しますが、今回の『SRサイタマノラッパー マイクの細道』では、エンディングを毎回さまざまな場所で、さまざまな出演者で撮影をしました。
その方が今回のロードムービーにはふさわしいな、と思って決めたのですが、放送時、このエンディングへの反響が大きかったため収録しました。
漫画「ドラゴンボール」の単行本を集めていって、背表紙が繋がっていった時の嬉しかった記憶を元にしています。

4. 「ラップ完全版」
何気にもっとも大変だったのがこれ。
DVD化にあたり、「泣く泣く切ったラップを記録として入れておこう」となりました。ですが、ラップ完全版を作るというのは、編集室に入って編集をやりなおして、さらに音声のミックス作業を新規でやること。ポストプロダクションのスタッフさんに多大な負担を強いつつ、皆の頑張りで、ドラマ放送後に作り上げました。

特にこだわったのが、クラブチッタでのライブシーン。
カメラは1カットで2曲分のライブを捉えていますが、ノーカット編集で収録しています。撮影の三村和弘がステージをどう動いて、どこでカメラをいったん下げたか、どこで俳優に向けたか、生々しい息づかいとともに追体験できるはずです。


<封入特典系>
5. 「オリジナルサウンドトラックCD」

『SRサイタマノラッパー』シリーズといえば、スピンオフ的サントラ。
スピンオフドラマ的に新たにラップを録りおろしました。
当初はCDとして単独で発売しようかという案もあったのですが、最終的にDVD封入となり、パッケージの豪華さが増して愛蔵版になりました。

6. 「ラップ完全版歌詞カード」
サントラCDに伴って、歌詞カードも封入することにしました。
しかもサントラだけでなく、ドラマ本編のラップすべての歌詞も、です。
これが意外と大変でした。
プロデューサーが放送された完パケを見て文字修正をしてくれました。
放送時にはよく歌詞が聞き取れなかった、あそこはなんて歌ってたんだ? と思われた方に、ぜひ確認していただきたいです。
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……そんなこんなで、スペシャル特典がギューーーとまとまりました。
うん、もう満足。これ以上はできない!
しかし、誰が想像できたでしょう。
こんなに硬い紙で立派に作られたBlu-rayのパッケージを。
イック、トム、マイティなど各キャラクターがデザインされた盤面を。
『SRサイタマノラッパー』でこんな豪華なソフトが作れる日を。
10年前の僕に見せたら、「え?」というと思います、間違いなく。
ぜひ本編と特典映像、それから封入歌詞カードなど、お楽しみいただけたら幸いです。


最後に。
9月21日(木)の夜に東京都内で本DVD発売記念のイベントをやります。
残念ながら抽選制ですが、DVD&Blu-rayのなかに応募用の抽選ハガキがありますのでお送りいただけると幸いです。
僕も上鈴木兄弟も、もちろん出演者も登壇します。
何をやるかは、これからのお楽しみ。

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